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2006年9月26日

静岡県立大学 食品栄養科学部教授 横越 英彦

タウリン(9) 脳や目の機能維持に必要

脳や目の機能維持に必要

血圧や心拍など、身体のいろいろな生理機能や行動は、神経が興奮するか、鎮静するかの両面により調節されている。すなわち、自律神経系の交感神経は、どちらかというと興奮作用に、副交感神経は抑制作用にかかわっている。

また、それぞれの作用に特有の神経伝達物質があり、タウリンは抑制性の神経伝達物質として作用している。タウリンは神経細胞やシナプスの膜を通るカルシウムイオンを調節し、過剰時に引き起こされる神経興奮状態を鎮める働きをする。

一般に、脳において重要な生理機能を有する成分は、脳内で作られており、食事から供給された場合、そのまま脳に取り込まれることはない。仮に取り込まれたとしたら、脳は、パニック状態に陥る。

それでは、タウリンは、脳に届くのか?これまでの研究結果では、摂取されたタウリンが、積極的に脳内に取り込まれることはなさそう。ただし、タウリンが全く脳に取り込まれないのかについては、厳密には分かっておらず、必要に応じて少しは入っていくのかもしれない。

先に、タウリンは、細胞膜の保護や修復作用のあることを示したが、このことは、目にも当てはまる。目の奥には眼球があり、その前に角膜がある。昼間は目を開けて生活しているため、表面にある角膜は、ゴミやコンタクトレンズなどで傷つけられ、また、紫外線による障害も受ける。

タウリンは、角膜の修復を高めるだけでなく、目の奥にある網膜の正常な機能維持にも必要な成分で、事実、網膜には多くのタウリンが含まれており、タウリンを積極的に取り込むためのトランスポーターも存在する。それ故、市販されている目薬には、タウリンの入っているものが多く見受けられる。

また、目は光を感じる組織であり、私たちの生活のリズムを整える働きをしている。不登校児童には、夜更かしで朝起きられない場合が多く、生活のリズムが普通の子どもとは違っていることが多い。そこで、まずは生活のリズムを整えることが必要だが、それには、朝、太陽の光を浴びることだ。ヒトの日内リズムは、脳の松果体から分泌されるメラトニンにより調節されているが、タウリンは、このメラトニン分泌の調節をしており、昼夜のリズムに関与している。このことは、海外旅行などでの時差ぼけなどの対処としても重要かもしれない。

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