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食品栄養科学部 環境生命科学科 物性化学研究室

研究概要

有機リン系殺虫剤の分解・変換生成物の合成とその神経毒性評価

有機リン系殺虫剤は農薬として幅広く使用され、食料生産等において重要な役割を果たしている。農薬は、散布後様々な環境要因で分解・変換されることが知られており、農薬有効成分のリスクを高度に評価するためには、分解・変換生成物も含めた包括的な毒性を明らかにする必要がある。

そこで農薬としての用途のほか防蟻剤として国内で広く使用されていたクロルピリホス(CPF)に注目した。これは、世界でも広く使われている農薬の一つである。日本国内では、分子構造内の塩素原子に由来する高蓄積性により使用が制限されている一方、開発途上国では未だ多く使用されており、近年輸入野菜から基準値を上回る残留量が国内で確認されている。

本研究では、分解・変換生成物としてCPFのP=SがP=O(オキソン体)となったCPF-oxonおよび、分子内の塩素原子が離脱したもの(脱塩素化体)を新規に合成し、それらの神経毒性を評価したのでその詳細を報告する。