生体制御異常を正常化する様々な食品栄養成分の作用メカニズム解析は、人類の健康長寿へと繋がる研究分野の重要な一翼を担っています。当研究室では、恒常性維持機構に関連する病態に依存した内因性分子の変化と食品成分による予防メカニズムについて研究しています。
健常者および医療現場における様々な栄養の問題を持つ患者に対して、適切な栄養管理を行うことは極めて重要です。生体で起きている現象について、「代謝動態」と「分子レベル」という視点に基づいた研究を通じて、栄養評価および臨床栄養管理法の構築を目指した研究を行っています。
健康で長生きするためには、適切な運動や正しい食生活を継続することが重要です。当研究室では、運動や食事の健康維持への役割について遺伝子改変動物などを用いて分子レベルで解明し、疾病予防に活用できる科学的情報を提供することを目指しています。
人々が望ましい食生活を営むために「食環境」の整備は重要です。その方法を、給食・中食・外食への介入やヒト介入試験により探索しています。給食施設のマネジメントに関する課題の解決、食後血糖抑制や抗酸化機能が明らかな「健康な食事」の開発・普及を目指し、研究と人材育成を行っています。
外にある食物を体内に取り入れる接点が小腸です。小腸における栄養成分の消化・吸収とその調節の仕組みを分子・遺伝子のレベルまで掘り下げて研究しています。メタボリックシンドロームや糖尿病の予防への栄養面からの取り組みの鍵が見つかると考えています。
既存の技術とは異なる新たな発想から見いだされた調理・加工法の提案、社会的ニーズが高い食べ物、例えば機能性成分を強化した新規加工食品の創製、高齢化社会において必要とされる高齢者食・介護食の開発などを手がけています。
健康な身体を維持するためには、摂取した栄養素、電解質は生体内に効率的に取り込まれる必要があります。これは消化管に存在する輸送体や、その関連蛋白が協同して働くことにより担われています。本研究室ではそれら分子の機能から消化管の生理機能を明らかにすることを目指しています。
子どもたちや家庭を取り巻く状況にも配慮しつつ、健康な身体と心の基礎となる「食」の大切さをしっかり子どもたちに教えることができる栄養教諭の養成を行いながら、現代社会における学校の役割やその中での食育のあり方について探求していきます。
ヒト集団を対象にした栄養疫学研究から、従来は検討できなかった生活習慣病の病因の解明に努めています。そして、その成果を欧米諸国のデータと比較することにより、日本人に効果的な食生活変容のアプローチを確立し、医療や健診・検診への適用を目指しています。
糖尿病や慢性腎臓病患者の食習慣、生活習慣と多様化する治療との関係のエビデンスを構築して質の高い療養・栄養指導の深化と糖尿病の悪化予防としての運動・食事の効果の分子メカニズムや栄養素のシグナル伝達物質としての役割の解明からこの分野での新化を目指しています。
適切な食生活や生活習慣は、心身の健康の維持・増進、そしてQOLの向上に繋がります。当研究室では、様々なライフステージにおける人々の食生活・生活習慣を客観的データに基づき詳細に分析し、エビデンス(科学的根拠)に基づいた健康・栄養教育方法の開発を目指しています。
ある食材が生活習慣病を予防すると研究で明らかになったとします。しかし、体に良いと理解しても「食べる」行動にまではつながりにくいものです。本研究室は人々の食行動に関わる環境や心理的な要因を調べ、効果的な栄養改善へつなげることを目指しています。
近年、食品に含まれる非栄養性成分に特異的な生理作用が見出され、その潜在的な健康維持や疾病予防機能が指摘されてきました。このような背景から、本研究室は、食品成分に関する分析化学的な研究を通じ、食品の機能性に科学的根拠を与えることを目標に研究を展開しています。
当研究室では、(1) 乳酸菌やビフィズス菌の機能性の解析(プロバイオティクス)、(2) 食品や食品成分の摂取による腸内細菌叢を介した健康効果の解析(プロ・プレバイオティクス)、(3) マダニ媒介新興感染症起因細菌の実態解析など、プロ・プレバイオティクスから有害微生物の研究を展開しています。
私たちは、食を通して、大豆のイソフラボンやワインのポリフェノールなどの天然有機化合物の恩恵を受けています。当研究室では、微生物や植物のゲノム情報を基に、天然有機化合物の生合成に関与する酵素遺伝子の働きを調べ、新規な天然有機化合物を微生物で生産しています。
酵母や麹菌は、古来よりパンや味噌・醤油、酒類などの製造に用いられてきた、人類となじみの深い真核微生物です。私たちはこれら真核微生物の関与する発酵プロセスの分子的理解と、酵母・麹菌の分子育種を含む、新産業への展開を目指した研究をしています。
食品を加工する際の成分変化について探究し、その意味を明らかにすることで、新しい加工技術の研究をめざします。新しい加工技術によって、より安く、より安全で、よりおいしい食品の開発を支えます。
産業的に高価値な食品開発を目指し、化学の力で“味と香り”をデザインする「おいしさの分子設計技術」、また皮膚や内臓など“身体が感じる味と香り”をコンセプトとする新しい機能性食品の開発研究に取り組んでいます。研究成果は、食品だけでなく香粧品や医薬品の開発にも繋がります。
蛋白質が持つ多様な機能は、食品産業を含む幅広い分野で活用されてきました。私たちは、ビックデータから得られる情報を活用することで、低コストで蛋白質の機能を向上させる技術を開発、多くの企業・大学と共同で技術の有用性を検証しています。
植物性食品に含まれるファイトケミカルは、病気の予防・治療から美容まであらゆる可能性を秘めています。生活習慣病に対して予防効果が期待できるファイトケミカルに着目し、独自に開発した物質変換反応を用いて環境に優しい効率的な合成に取り組んでいます。
生活習慣病の発症に関与する遺伝要因と環境要因(特に食生活)の相互作用を調べています。また、モデル動物である ショウジョウバエを用いて生活習慣病関連遺伝子の機能やステロイドホルモンの産生制御機構について研究しています。
現在、食品の安全性(化学物質、食中毒、食品添加物、放射能等)に関する問題が起こっています。当研究室では、日常的に摂取している食品のヒトに対する安全性、機能性を評価し、また制御方法を開発することを目的として、研究を行っています。
食品のおいしさにとって舌触りや歯ごたえといったテクスチャーはとても重要です。食品を構成するタンパク質、脂質、炭水化物によって作られる構造を観察し、食品の物性との関係を明らかにすると同時に、新たな構造の創出および物性の制御を目指しています。