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食品栄養科学部 環境生命科学科 物性化学研究室

研究概要

家庭用ゲーム機コントローラーに含まれる有機リン化合物の人工皮膚を用いた経皮曝露評価

有機リン化合物は,プラスチック製品に難燃性や可塑性を付与するために添加されるが,製品中の高分子材料と化学的に結合していないことや,発がん性や神経毒性を有する物質があることから,曝露に伴う健康影響が懸念されている。 一部の有機リン化合物は,ヒトの皮膚を介して経皮曝露することが実験的に確認されているため,経気道曝露や経口曝露に加え,有機リン化合物を含む製品との直接接触に伴う経皮曝露が注目されている。

近年,COVID-19の感染拡大やeスポーツの流行により,幅広い世代において長時間ゲームをする機会が増えている。一般に,大人よりも子供のほうが化学物質の影響を受けやすいことから,子供に対する有機リン化合物の影響が危惧されており, 家庭用ゲーム機のような,子供らが好んで使用する製品についてのリスクを評価することは重要である。しかし,家庭用ゲーム機に含まれる有機リン化合物の情報は限られている。また,有機リン化合物の経皮曝露に関する研究は,有機リン化合物を適当な溶媒に溶解し, 皮膚または人工皮膚上に塗布させ,血液を模擬したレセプター溶液への透過量に基づいて経皮曝露量を推算しているため,実製品を用いた皮膚透過試験は特に限られている。

本研究では,人工皮膚であるEPISKIN(三次元組織ヒト表皮モデル)を用いて,家庭用ゲーム機のコントローラーに含まれる有機リン化合物の皮膚透過試験を行い,家庭用ゲーム機の使用に伴う有機リン化合物の経皮曝露量の推定を行った。