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食品栄養科学部 環境生命科学科 物性化学研究室

研究概要

人工皮膚を用いた製品中リン系難燃剤の経皮曝露量測定法の検討

リン系難燃剤(PFR)は室内製品中に高濃度で含まれており,ヒトへの神経毒性や発がん性などの健康影響が懸念されている。ヒトへの難燃剤の曝露経路として,ダストを介した経口曝露が主要な経路とされてきた。しかし近年,皮膚に付着した,難燃剤を含むダストを介した経皮曝露が,経口曝露に匹敵し得る曝露経路であることが報告されている。経皮曝露は拡散吸収により起こるため,移動媒体間の濃度勾配に比例して速くなる。このことを考慮すると,より難燃剤濃度の高い製品との直接接触による経皮曝露量は,皮膚に付着したダストからの経皮曝露量よりも多くなると考えられる。

既存の経皮曝露量の推算法では,評価対象の試薬を溶剤に溶かし,人工皮膚に塗布したときのレセプター溶液への皮膚透過速度に基づいて曝露量を推算している。しかし,実際に測定されたPFRsはTCEP,TCPP,TDCPPの3物質のみに限定されている。また,既存の方法では,実際に接触する製品の性状を考慮できないため,経皮曝露量を過大または過小評価している可能性がある。

本研究では,測定対象のPFRsの種類を拡大するため,PFRs分析法の改良を試みた。具体的には,皮膚透過試験時のレセプター溶液中のPFRsの前処理方法を検討した。