気象予報士の資格取得(国家資格)

 

学生への資格支援を目的として、自分に何ができるかと考えたとき、まずは気象予報士かなと思いました。地球規模の気候変動や集中豪雨、台風の大型化、南岸低気圧による降雪、夏季の高温など、極端な気象現象が増えています。“異常気象”と大げさに言いたくはありませんが、このような環境の変化に対して自分自身で身を守る術を身につけ、適切な防災的行動を選択するためには気象予報の知識が必要となります。環境生命科学科や大学院環境科学専攻において、環境防災という観点から必要な知識であり、それを保証する意味で気象予報士の資格は重要です。

 

私の場合、大学生時代気象学が講義科目にありましたし、これまで行ってきた研究でも温度、湿度、風、日射量などを測定してきました。対象は温室(温室微気象)や森林(森林微気象)です。このような限られた場の微気象とは違い、気象全般に関する知識は大学以来真面目に勉強したことがありませんでした。試験勉強では、あやふやな知識を一つずつ確認する作業から始まりました。勉強8か月後に受けた試験で、予報業務に関する一般知識と専門知識の両方の試験に合格し、その半年後の試験にて、実技試験に合格しました。

 

文系の学生でも合格する人が少なくありませんが、基本の学問は物理です。ただし、難しい理論はそれほどなく、計算問題もありますが比較的簡単です。試験には、

@予報業務に関する一般知識(60分)

A予報業務に関する専門知識(60分)

B実技(75分×2

があります。これら3つの試験に合格して、“気象予報士”の国家資格が得られます。全部を一度に合格するのは至難の業ですので、普段の勉強にも時間を使わねばならない学生さんは、@とAにまず合格し半年後の次回あるいは1年後の次々回でBに合格するよう勉強することを勧めます

 

気象予報士の資格をとっても就職にほとんど役にたたないと、インターネットに書かれていることをたまに目にしますが、これには誤解があります。この資格は、身近な気象を扱うだけに、一般大衆に興味をもたれるものであり、受験者は小学生からご高齢の老人まで様々です。大学生(大学院生)が気象予報士の資格をもって就職活動すれば、合格率5%前後の試験に合格したわけですから、その人の評価を上げることは間違いありません。また気象や環境関連の会社では、当然選考では有利になります。しかし、私のような50歳に近い人が、気象予報士の資格をとって就職活動するとなると状況は異なります。中途採用の場合、資格でなくその人の経験が重要視されるからです。資格を取ったからと言って気象予報の経験がほとんどなければ、採用は難しいでしょう。他方、新卒の採用では経験でなく、戦力としての将来性が評価されます。

 

企業は最終的に人で判断します。あなたが大学生(大学院生)時代にこの難関の資格取得に向けて一生懸命勉強し合格できたという事実は、企業にとってあなたの価値を見出すのに十分な証拠となるのです。

 

気象予報士試験に関する、よい参考書、過去問題と解答、などは私の部屋にありますので、オフィスアワーや約束した時間に来てもらえれば閲覧できます。どんな資格かちょっと興味があるので話を聞きたいという人も歓迎しますので、遠慮なく研究室を訪ねてください。メールでの問い合わせもOKです(atani(ここに@を入れてください)u-shizuoka-ken.ac.jpへ)。