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酵素の大量生産技術の開発 -JST 共同発表-

JST戦略的創造研究推進事業において、浅野泰久教授、 松井大亮 助教 (富山県立大学、ERATO浅野酵素活性分子プロジェクト)、中野祥吾 助教 (静岡県立大学 食品蛋白質工学研究室)らは、沈殿して不溶化する酵素のアミノ酸配列の一部を別のアミノ酸に置き換えることで可溶化させ、目的の酵素を効率よく生産する方法を見いだしました。さらに置換部位をコンピューターで予測できるプログラムを開発しました。
優れた機能や性質を持つ酵素を実用化するには、大量生産技術が必要です。遺伝子組み換え技術が発展し、他の微生物や動植物由来の酵素の遺伝子を微生物に組み込むことで大量生産できるようになりました。しかし、合成されたたんぱく質は、酵素活性を持たない不溶性の沈殿物になる確率が高く、酵素の産業利用の拡大を阻んできました。
本研究グループでは、遺伝子配列に無作為に変異を加えるランダム変異導入法を用いて可溶化する変異体酵素注1)を多数作製し、不溶化した酵素を可溶化させるアミノ酸変異導入のデータを網羅的に集めました。その解析結果から不溶化の原因となっている構造情報を突き止めることに成功しました。さらに、不溶化した酵素のアミノ酸配列と類似している可溶性酵素とを比較して、アミノ酸の置換部位と種類を予測できるプログラムを作成しました。
本研究成果は、動植物由来の酵素を微生物で発現させる際にも有用であり、これまで生産が困難であった多くの酵素の特性解明や、それらの産業利用につながると期待されます。本研究成果は8月25日付けのScientific Reportsに掲載されました。

参考
JST 共同発表 "高性能な酵素の実用化に道を拓く大量生産技術の開発"
マイナビニュース, (所属記載ミスあり)
科学新聞、日経バイオテクノロジー (9月1日号) 
タンパク質の可溶化変異点 (可溶化ホットスポット) の予測法に関する論文
"Rational identification of aggregation hotspots based on secondary structure and amino acid hydrophobicity"  Scientific Reprts