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食品化学国際誌に掲載:ジペプチドによる抗2型糖尿病標的酵素の阻害

 食品栄養科学部の学生・教員の論文が国際誌Food Chemistry誌に掲載されました。

 ヒトジペプチジルペプチダーゼIV(hDPPIV)は、人体の様々な組織ではたらいているタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)で、インスリンの分泌を促すインクレチンホルモンを分解します。このため、hDPPIVの活性を弱めるはたらきのある食品成分や化合物は2型糖尿病の進行を防ぎ、治療に役立つと考えられています。これまでに幾つかの食品タンパク質分解物(ペプチド)がブタDPPIVを阻害することは報告されていますが、ヒトhDPPIVについてはほとんど調べられていませんでした。

 今回、生物分子工学研究室と食品蛋白質工学の教員と学生らは、遺伝子組換えでヒトのhDPPIVを作製し、2つのアミノ酸で構成されるジペプチドのほとんど全て(計337種類)の阻害効果を調べました。この網羅的な解析の結果、ジペプチドによるhDPPIV阻害の全体像が初めて明らかとなり、同時に、阻害効果の特に高い新規ジペプチドが多数発見されました。

 ジペプチドはタンパク質を加水分解して大量につくることができますが、もとのタンパク質によって得られるジペプチドの種類と量(組成)は大きく異なります。研究グループは、強いhDPPIV阻害ジペプチドが大豆タンパク質分解物に多く含まれていることを明らかにしました。また、hDPPIV阻害ジペプチドが得られやすい食品素材を予測できました。網羅的解析データから、hDPPIVを阻害しやすい分子の形が見えてきましたので、新しい医薬品の開発が可能になるかも知れません。このように、本研究成果は抗2型糖尿病効果をもつ機能性食品や医薬品の開発に大きく貢献するものです。

 これらの研究は不二製油株式会社との共同研究として進められ、学術論文として国際誌Food Chemistry誌に掲載されました。オリジナルの論文のタイトルおよび要旨は、以下のリンクでご覧になれます。

Lan V.T.T., Ito K., Ohno M., Motoyama T., Ito S., Kawarasaki Y.: Analyzing a dipeptide library to identify human dipeptidyl peptidase IV inhibitor. Food Chem. 175, 66-73 (2015)

関連リンク

◯生物分子工学研究室
◯食品蛋白質工学研究室
◯Food Chemistry誌

 

糖尿病についてもっと知りたい方
◯糖尿病ってどんな病気?(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/seikatu/tounyou/about.html