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清水誠先生 食品栄養科学部特別講義 〜食品成分による腸管上皮細胞機能の制御〜

元静岡県立大学食品栄養科学部助教授で
現在 東京大学大学院農学生命科学研究科 食の安全研究センター特任教授
東京大学名誉教授の清水誠先生の特別講義があります。

多くの学生の積極的な参加をお待ちしています。

平成25年度 食品栄養科学部 学部特別講義、食品栄養科学 月例セミナー

食品成分による腸管上皮細胞機能の制御

清水 誠 先生
東京大学大学院農学生命科学研究科 
食の安全研究センター特任教授

日時: 2014年2月17日(月)15時30分〜17時
場所: 食品栄養科学部棟5211教室

腸管上皮細胞を研究対象としたことには2つのきっかけがあった。一つは私が母乳の脂肪球膜から見出した高分子量糖タンパク質PAS-0 (その後MUC1と命名される)の機能を考えていた時に「腸管上皮粘膜と脂肪球の相互作用」という問題が浮上したこと、もう一つは腸管感染を予防する受動免疫食品の研究の中で、病原細菌の腸管上皮への接着性評価のために「腸管上皮細胞モデル」の必要性を感じたことであった。最初に手掛けたウサギ小腸を用いた上皮細胞の培養は成功しなかったが、1990年に赴任した静岡県立大学で転機が訪れた。
当時、学部長だった生理学研究室の星 猛教授は、腸と食品の関係を探りたいという私の考えを理解し、腸管上皮の基礎知識を伝授して下さった。そして1991年に助手として赴任した橋本 啓氏(現、宇都宮大学教授)の助力のもとに私の腸管上皮細胞研究が始まった。それから20年余りが経過したわけだが、その間に行った腸管上皮細胞と食品成分の相互作用の研究を、この場を借りて振り返ってみよう。
静岡での研究は、農学分野では誰も注目していなかった腸管のタイトジャンクションと食品成分の研究から始まったが、その後東京大学に移ってからは、星先生から薫陶を受けたトランスポーターに着目した。タウリントランスポーターから始まり、その後、グルコース、アミノ酸、モノカルボン酸などのトランスポーターと食品の関わりを調べた。さらに薬物トランスポーターの研究から、腸管上皮細胞の解毒代謝系の研究も進めた。一方,上皮細胞の共培養系開発の過程で、腸の炎症に関心を持ち、腸管の炎症を抑制する食品成分の解析を行った。
研究を進めて行くと、腸管の機能は外因性因子である食品成分によって様々な影響・調節を受けていることが見えてくる。腸と食品の相互作用は、我々が「生きるために食べる」ことの意味を考えさせてくれる根源的な事象であることをぜひ知ってほしい。

本月例セミナーの出席調査により以下の科目の単位が認定されます。
食品栄養科学専攻「食品栄養科学コロキウムⅠ」、「食品栄養科学コロキウムⅡ」、環境科学専攻「環境科学コロキウム」

問い合わせ先 栄養生理学研究室 合田 敏尚(内線: 5533)