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2008年3月18日

静岡県立大食品栄養科学部教授 木苗 直秀

長寿の根拠を求めて(22) 賢い消費者をめざそう

賢い消費者をめざそう

超高齢化社会を迎え、健康・長寿志向はますます強まっている。しかし輸入食品については、残留農薬の問題や、冷凍ギョーザによる食中毒事件などが発生し、国内産品も賞味期限や産地表示などの偽装がいくつか社会問題となっている。

さらに、食習慣を含む生活スタイルの変化からアレルギー症状を呈する人が増えており、アレルギー表示をすべきものとして、エビやカニを追加することが検討されている。

最近、食育、地産地消、スローフード、エクササイズなどが奨励されている。また今年4月からメタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)対策として特定健診や特定保健指導が実施されることになっている。食生活の改善、運動習慣の維持とともに心身のストレスを少なくして快適さを実感できる日々を過ごしたいものである。

健康食品は科学的エビデンス(根拠)と安全性が強く問われている。食の安全性については、対象食品のヒトに対する健康障害の有無を評価し、それに基づいて施策を立て、さらに情報の提供・意見交換を行うリスク分析法が国内外で用いられている。

食中毒菌、カビ、キノコなどの自然毒、農薬などの化学物質などの有害性を実験動物を用いて毒性を調べ、用量作用評価を行い一日摂取許容量(ADF)を求め、ヒトの暴露評価を行い、危険度を明らかにするのがリスク評価である。このリスクを低減化するために対象物質ごとに規格基準をつくるのがリスク管理である。

消費者は正確な情報の発信、提供を求め、事業者や食品安全委員会、行政側との意見交換が必要不可欠である=表。

本シリーズを通して、食品の健康に対する有効性を紹介してきた。静岡県特産の多くの海の幸、陸の幸、山の幸が体の構成成分となり、疫病を予防し、抗加齢効果を発揮している。

わが国の食料自給率がカロリーベースで39%と海外依存率が高まる中で食品の安全性を問い、有効性を生かす工夫が消費者に課せられている。すべての職種の人が家庭では消費者であることを再認識して、安全で機能性を有する食品の恩恵にあずかりたいものである。 =おわり

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