静岡県立大学食品栄養科学部環境生命科学科
Department of Environmental and Life Sciences, University of Shizuoka

環境生理学研究室 
Environmental Physiology Lab.

 

1.植物細胞核の運動・形態形成機構

細胞核は遺伝子DNAの収納と機能発現に重要な場になっています.高等植物の細胞核は外部からの環境シグナルに応答して活発に細胞内を運動し,その形態をダイナミックに変化させます.私達は植物の環境応答を支える核の運動・形態形成の分子機構を明らかにしようとしています.
参考論文: Curr. Biol. (2013), Plant Cell (2014), J. Exp. Bot. (2015), Plant Phyisol. (2016)
 

        
       伸長しているシロイヌナズナの根.細胞核をGFPにより可視化している.
 
 
  シロイヌナズナの根における細胞核の運動.GFPにより細胞核を可視化している.

 

2.核膜孔を介した植物の生存戦略

核膜孔は核の内外を連絡する孔で,核膜を貫く構造です.核ー細胞質間の物質輸送はこの核膜孔を介して行われています.核膜孔は多数のヌクレオポリンタンパク質から構成されています.植物の核膜孔を形成するヌクレオポリンの同定とそれらの機能解析を通じて,発生・植物免疫・生殖といった様々な局面における重要な役割を明らかにしてきました.植物の生存戦略を支える核膜孔の新たな機能理解を目指しています.
参考論文: Plant Cell (2010), Nucleus (2011), J. Exp. Bot. (2013), Front. Plant Sci. (2014), Nucleus (2017)

 

シロイヌナズナ根端細胞における核膜.核膜孔複合体構成因子とGFPの融合タンパク質を用いて可視化している.
 

3.消化管の生理機能(消化管運動、経上皮物質輸送および生体防御)制御機構解析および病態生理学的解析

消化管運動や上皮膜輸送(腸管粘膜上皮を介した水・電解質・粘液などの分泌・吸収)は、神経系(腸管神経)、内分泌系(消化管ホルモン)、免疫系(腸管免疫系)が一体となった制御機構によって制御されています。この腸管神経‐内分泌‐免疫系による消化管の生理・生体防御機構について、ヒトと正常/病態モデル動物(マウス・ラット)を用い、種差も含めた解析を行っています。


4.消化管管腔内化学受容機構を介した機能性食品および創薬に関する基礎研究

クローン病・過敏性大腸炎などの炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、老化による消化管機能障害や脱毛、肥満、糖尿病、さらには慢性腎不全時の高カリウム血症に対する消化管を介したカリウム排泄促進など、様々な疾病に対して、消化管の管腔内化学物質受容機構への働きかけによって予防・治療する機能性食品や薬剤の開発を目指しています。