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2007年4月17日

静岡県立大食品栄養科学部教授 横越 英彦

長寿の根拠を求めて(3) 生活習慣 お茶で整えよう

生活習慣 お茶で整えよう

今回は、静岡県を代表するお茶と、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防について取り上げる。日だまりでお年寄りが、菓子をつまみながらお茶を飲む光景は、日本のほのぼのとした長寿社会の1つの証であり、しわくちゃな顔には、その時々の苦労が刻まれていても、お茶を飲む時の笑顔は、何にも代え難いものがある。

さて、陸羽が著した「茶経」、李時珍が編さんした「本草綱目」、また、禅僧栄西が著した「喫茶養生記」など、昔からお茶は体によい飲み物として知られている。一方、濃いお茶は、子どもに良くない、薬を飲むときにはお茶は駄目だと言ったように、何か特別な作用をうかがわせることも知られていた。「なぜ、お茶は健康によいのだろうか?」と言った根拠が示されるようになったのは、比較的最近のことである。

人間は長い進化の過程で、飢餓状態から生き延びるために、体内脂肪を蓄積する機構を獲得してきた。また、この機構を有する者が生き延びてきた。これに対して、現在、過剰に栄養が供給され、エネルギー消費が少ない場合に、徐々に内臓脂肪が蓄積するのは当然の成り行きである。メタボリックシンドロームの発症は、長い間の生活習慣が重要な要素となり、わずかな生活習慣のひずみの積み重ねと連鎖により、より重い症状に移行するという考え方がある。

最初は小さな生活習慣の乱れであっても、それがドミノのように段階的に病態的な生理変化へと増大し、幾つかの生活習慣病を引き起こし、最終的には、心不全や脳卒中といった生命を落とす合併症になる。そう考えると、どこかの時点で、ドミノをストップさせなければならない。ドミノ現象は、連鎖反応であることから、特定の要因だけを削除することは難しい。それ故、最初の引き金になっている生活習慣を十分に整えることが、この症状の予防に一番重要なことである。

緑茶中に含まれるさまざまな成分の機能特性は、このドミノ現象をブロックすることが明確である。内臓脂肪が蓄積してから対応するのではなく、子どもの時からの栄養と運動などの生活バランス、そして、緑茶を飲用するという生活習慣が、最も大切なことである。

本年11月2-4日に、「世界お茶まつり」の一環として「第3回国際O-CHA学術会議(ICOS)」が静岡県立大で開かれる。25カ国から約800名の研究者の参加が見込まれており、お茶に関するさまざまな情報交流が行われる。関心のある方は、ぜひ参加していただきたい。

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