静岡県立大学 食品栄養科学部がお届けする食と健康の情報サイト

  • ホーム
  • おとこの食の自立を目指して 男子厨房に入りましょう
  • マンガでみる 食品栄養科学部の紹介
  • 新聞
  • ラジオ
  • テレビ
  • グローバルCOEプログラムについて

新聞

ホーム > 新聞 > 長寿の根拠を求めて(7) 蜂産品原料考慮し使い分け

2007年6月19日

静岡県立大食品栄養科学部准教授 熊沢 茂則

長寿の根拠を求めて(7) 蜂産品原料考慮し使い分け

蜂産品原料考慮し使い分け

ローヤルゼリー、プロポリス、ハチミツなどのミツバチ生産物「蜂産品」。人間は、ミツバチが自然資源より作り出したこれらの物質を昔から健康維持のために利用している。

ローヤルゼリーは花粉を摂取したミツバチの働きバチが分泌するゼリー状のミルク(王乳とも呼ぶ)で、特異的な脂肪酸やタンパク質を含んでいる。ローヤルゼリーはミツバチが合成・分泌するので、成分組成は一定で、原料となる花粉種による変動は若干あるものの産地や時期の特性は出にくい。以前からローヤルゼリーは更年期障害に効果があるといわれてきたが、抗疲労作用や抗炎症作用など、さまざまな機能性が明らかになっている。

プロポリスはミツバチが巣の補強のため、植物の樹脂、主に芽の浸出物を集めてきて蓄えたものである。主に健康食品として利用されており、抗菌、抗酸化、抗腫瘍(しゅよう)作用など、多様な生理機能を有することが確かめられている。

ミツバチは植物をそのままプロポリスとして利用しているので、産地の植生によって、その成分組成は大きく異なる。例えば、ヨーロッパや中国などで採取されるプロポリスはポプラが起源であるが、ブラジル南東部産のプロポリスはアレクリンとよばれるキク科の植物が起源である。

起源となる植物が異なれば、当然生理作用も異なるため、プロポリスを有効に利用するには、産地や起源植物に関する情報を考慮し、目的に応じた使い分けが必要である。

ハチミツは集めてきた花蜜をミツバチが巣の中で酵素によって変性させたもので、花蜜の主要な糖であるショ糖が果糖とブドウ糖に、またブドウ糖の一部がグルコン酸に変化したものである。糖分以外には、有機酸、アミノ酸、ミネラルやビタミン類などが含まれる。ハチミツは古来、虚弱体質の栄養補給に用いられてきたように、強壮効果が認められている。近年、抗菌性を有するとされる機能性ハチミツも商品化されるようになり、ラベルに蜜源植物が表示されるものも増えてきた。

しかしながら、ハチミツの蜜源植物を定義するための科学的な根拠は極めてあいまいな状況にある。そのため、最近、私も含めたハチミツ研究者が集まりコンソーシアムを立ち上げた。このコンソーシアムの目的は、蜜源の科学的根拠を提示し、きちんとした品質のハチミツを消費者に提供することにある。しっかりした蜜源指標を作成することができれば、ハチミツの健康機能と蜜源植物との関連性解明にもつながるものと考えられる。

  • 戻る
  • 次へ