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2007年7月24日

静岡県立大食品栄養科学部教授 渡辺 達夫

長寿の根拠を求めて(9) 生活習慣見直し肥満防ぐ

生活習慣見直し肥満防ぐ

生活習慣病には、糖尿病や高血圧、高脂血症、ある種のがんなどが含まれる。これらは、長年の偏った生活習慣により引き起こされるもので、縁起の理法(原因-結果の法則)の生活版に相当するものである。本来、人間の体はよく動かすことで正常に保たれる。また、エネルギー不足の事態に備え、食物を過剰に摂取したときには体脂肪として蓄える。人間はこのような性質を有しているため、現代のように、体をあまり動かさない生活で、かつ摂取カロリーが過剰な時代には、過剰に体脂肪を蓄積したヒトが増えてくる。

メタボリックシンドロームとは、体脂肪のうち、内臓脂肪が蓄積していて、軽度の高血圧、高血糖、高脂血症の3つのうち2つ以上が該当する場合はいう。メタボリックシンドロームに該当する場合は、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの血管系の病気のリスクが数10倍に跳ね上がる。

内臓脂肪が増えると、脂肪組織からアディポサイトカインと総称される物質がたくさん分泌されるようになり、これが体を生活習慣病へと導くものである。内臓脂肪は、つきやすいが、取れやすいという性質を持っている。

生活習慣病やメタボリックシンドロームであると指摘されたならば、いままでの生活習慣のどこに誤りがあったかをじっくり見直し、どのように改善すべきかを考えると良い。まず体重をこまめにチェックする。体重の増減を毎日見ているとその因果関係が思いあたってくる。そして、規則正しい生活を心がけ、過剰の塩分・高カロリーを控え、体を動かす工夫をしよう。高い理想を完璧(かんぺき)にはめざす必要はない。少しずつでも体重や体調に変化が見られるとこれが喜びに変わり、続けていくことができる。心から強く思い続けていることは必ずできるようになるものである。

その際、食べ方によってもエネルギー消費が異なってくる。1日のエネルギー消費の60-75%は安静時代謝が占め、運動での消費分は15-30%である。残りの5-10%は、食品を摂取することによるカロリー消費で、食事誘発性産熱(DIT)と呼ばれる。トウガラシやコショウ、ショウガなどの熱い感覚をもたらす香辛料はDITを強める候補食品で、これらを朝や昼に摂取すると交感神経活動をやんわりと高めてくれると考えている。

最近、これらの作用には辛味が必須でないことを見出し、辛くなくともDITを高める食品を探している。また、食物繊維を多く含む食品などを摂取すると、食後のインスリンの分泌が緩やかとなり、肥満しにくい。これらの知見を上手に活用するとよいであろう。

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