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ホーム > 新聞 > 長寿の根拠を求めて(12) 食事リズムで脂肪蓄積

2007年9月4日

静岡県立大食品栄養科学部准教授 合田 敏尚

長寿の根拠を求めて(12) 食事リズムで脂肪蓄積

食事リズムで脂肪蓄積

現在、壮年期以降の健康上の問題点としてメタボリックシンドロームが大変注目されている。国は、健康づくりのための重点課題としてメタボリックシンドローム対策を採用しており、今後は腹囲の測定が一般的な健康診断の項目にもなる。

この背景には、おなかの中の脂肪(内臓脂肪)が動脈硬化などの血管の病気と深くかかわっているという多くの臨床データがある。しかしながら、同じように太っていても、皮下脂肪が多い人もいれば、内臓脂肪が多い人もいる。皮下脂肪がつきやすい人と内臓脂肪がつきやすい人では、何か決定的に違う原因があるのだろうか。

最近、静岡市の静岡健康管理センターと共同で、コンピューター断層撮影(CT)スキャン検査を受診した男性人間ドック受診者を対象にして、この問題に取り組んだ。通常の健康診断の検査のほかに、食事調査と食習慣および生活習慣の問診を行い、120項目の評価項目について、皮下脂肪面積が同じであっても内臓脂肪面積が大きく違う要因があるかを調べてみた。

その結果、内臓脂肪面積が多いと、体脂肪率と腹囲が大きく、血中中性脂肪と拡張期(最高)血圧が高いというように臨床検査項目では予想通りの結果が得られたが、興味深いことに、食習慣・生活習慣の面では、内臓脂肪のつきやすさには、食事を速く食べる▽おなかいっぱい食べる▽夕食を遅い時間に食べる ▽飲酒量が多い-など、「食事のリズム」や「食事のしかた」が強く関連していることが分かった。

これらの食事のしかたは、「ストレスを感じることが多い」生活のリズムとも関連している。つまり、内臓脂肪の蓄積は、単に食事のカロリーを過剰にとることによって起こっているのではなく、1日に食べる量が同じでも、3食の配分や、夕食の時間、食べ方によって肥満の起こりやすさ、脂肪の蓄積する部位が変わると考えてよさそうである。たとえば、内にストレスを抱えて夜遅く帰宅し、夕食をせかせかと腹いっぱい食べ、ストレス解消にアルコールをあおってすぐ寝てしまう、というような生活パターンがあれば、それは内臓脂肪が蓄積しやすい典型的な生活習慣の例であろう。

内臓脂肪を減らすためには、「何を食べるか」を考えるとともに、食べるリズムや食べ方など「どのように食べるか」にも気をつけることが効果的であろう。日本人の食生活はまだまだ賢いものにできそうである。

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