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2007年10月2日

静岡県立大学食品栄養科学部准教授 斉藤 慎一

長寿の根拠を求めて(13) ビタミンは適量摂取を

ビタミンは適量摂取を

今年の夏は異常に暑かった。ビタミンB1を発見した静岡県出身の鈴木梅太郎の碑が静岡県立図書館、美術館のある公園の一角に、せみ時雨につつまれて立っているのを見てあらためてその偉業に敬服した。日本ではその後、ビタミンB1の研究が盛んになり、体内に吸収されやすいビタミンB1がつくられ、それまで見られた白米主食によるかっけがほとんどなくなった。

ビタミンは、体が健康な営みをするのに微量必要なもので、食事から取らなければならない栄養素である。一般に食品中に微量しか含まれていないこと、食品の種類により含まれる量に著しい偏りがあるので、食欲減退時や偏食では十分摂取できず、不足による半健康的状態となり、この状態が長く続いたり、頻回に起きると疾病が起こりやすい。

体の営みは多種類の酵素が複雑に連携して行われているが、ビタミンの生理作用の一つはこれらの酵素の働きを助けることである。ビタミンは体内で利用されて消失する。日本では13種類のビタミンについて健康を維持するためにどのくらいの量を食事からとったらよいのかが推奨量、目安量として数値で示されている。普段の摂取量がこれ以上であれば不足することが少ない量である。

ビタミンの体内動態は生活スタイル、食習慣、体調によっても変わりうる。ビタミンB1、B2はエネルギーをつくりだすのに必要なので、運動選手や力仕事をする人たちでは消費量が多くなる。ビタミンDは太陽の光により皮膚でもつくられるので適度の日光浴で必要な量の一部が補える。

また、喫煙者やストレスを受けやすい人ではビタミンC、Eの消費量が多くなる。アルコールをよく飲む人ではビタミンB1の消費量が高まる。ビタミンB6はタンパク質代謝に関与するのでタンパク質摂取が多いときには必要量が多くなると言われている。

ナイアシンは体内でアミノ酸のトリプトファンからもつくられるので、トリプトファンが少ないトウモロコシを主食としている人たちに欠乏症が起こる。ビタミンB12、Kは腸内細菌によってもつくられているので胃腸を健康状態に維持することも大切である。

腎臓、肝臓の機能により活性化されるビタミンもある。最近、食が豊かになり、また、ビタミンサプリメントの利用が多くなりビタミンの過剰症が心配され、摂取量がこれ以上であると健康を損ねるおそれがある量として摂取上限量が示されている。

ビタミンAはある種の魚の肝臓に非常に多く含まれているので、その魚の肝臓をたくさん食べると過剰症になる可能性がある。ビタミンは相互に関連しながら働いているので体が必要とする量をバランスよく摂取することが大切である。健康のための賢いビタミンの取り方は多種類の食品を食べることである。

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