今井千裕さん(山梨大学大学院総合研究部教育学域 生活社会教育講座 准教授:山梨県)

学部2010年度卒業(栄養生理学研究室)
大学院博士前期2012年度修了(栄養生理学研究室)
大学院博士後期2015年度修了(栄養生理学研究室)

Q1. どんな仕事をしていますか?
A1. 私は現在、東京医科歯科大学に勤務し、附属病院における周産期ゲノムコホート研究を進めています。お母さんのお腹の中にいる時から三歳くらいまでの期間の環境は、その時点だけでなく、その子の将来の健康にも重要ではないかと考えられています。そこで私は、妊娠中の食事や栄養状態が、母児のエピゲノム(遺伝子上の修飾状態)や子どもの発育などに及ぼす影響について調査しています。このコホート研究は、産婦人科・小児科の医師や管理栄養士をはじめとした様々な専門職種の先生方と共同で進めていて、私は妊婦さんの食事記録調査や研究全体のコーディネートなどを担当しています。また教育面では、主に大学院生に対してエピゲノム解析の指導をしています。栄養学分野やゲノム分野の研究は、「先制医療(病気になる前の予防的介入)」の面からも、今後ますます重要になってくると考えています。

Q2. 栄養生命科学科の魅力を教えてください
A2. 私がこの学科の魅力と考えるのは、「専門性が高められること、課題に取り組む能力が養われること、周囲のサポートが充実していること」です。まず、食事・栄養に関するあらゆる分野の基礎・応用・実践までをじっくり学ぶことができる環境が整っており、充実した講義内容や豊富な実験実習によって、より高い専門性が身につきます。この学科は全体の人数が少なく、仲間とともに取り組む課題が多いので、チームで協力して課題をこなすスキルも鍛えられます。また、先生方や先輩との距離が近いので、講義関係だけでなく大学生活上の相談もしやすく、より充実した大学生活を送ることができます。さらに、食と栄養に関する幅広い職種への就職の可能性が得られることや、大学院進学の環境が整っていることも魅力です。

Q3. なぜ大学院に進学したのですか?
A3. 私は大学入試の時から大学院進学を視野に入れていました。その当時、「薬(医)食同源」という言葉に非常に感銘を受け、日々の食事と健康との関係について、科学的に知りたいと思ったのです。栄養生命科学科では、学部講義の時から基礎的な実験手法をきちんと学ぶことができ、4年生では1年間集中して、自分の興味のある研究室で研究することができました。この学科は、そのような学習環境や周囲からの支援に恵まれていると思います。栄養学のエキスパートとして社会で活躍するには、今後はより科学的・論理的な視点が求められてくると思います。学部の4年間であっても知識や実践力は身につけられると思いますが、大学院に進学してより豊富な知識や専門技術を学ぶことも、きっと良い経験となります。