研究内容

現在、国内外で食品の安全性(化学物質、食中毒、食品添加物、農薬、放射能など)に関する社会問題が起こっています。食品はヒトが毎日、口にしている生命活動に不可欠なものです。したがって、食品の安全性を確保することは、ヒトの健康を維持する上でとても重要です。当研究室では、食品のヒトに対するリスクを評価し、また制御することを目的とし、他大学には見られない、食品の化学的(化学物質)および生物学的(食中毒菌)両リスク因子に関する研究を行っています。また、化学物質と食中毒菌などの病原性細菌が共存した場合、それぞれの毒性や生体影響が変動することが考えられます。そこで、化学物質と病原性細菌に同時に暴露された際の生体影響やそのメカニズムの解析を行っています。

 

<1> 食環境中化学物質の安全性評価とリスク分析

食品中の化学物質 (アクリルアミド、グリシドール脂肪酸エステル、ヘテロサイクリックアミンなど) の生成メカニズム、遺伝毒性および生体内の挙動を明らかにし、ヒトに対するリスク評価を行っています。

 

<2> 病原性細菌の病原因子発現に対する制御法の確立

黄色ブドウ球菌の毒素産生や毒素活性、および細胞外膜小胞を介した病原性の発現について解析しています。また、これら生体影響を誘導する因子を制御する食品成分を探索することで、食中毒や皮膚炎など制御法の確立を目指します。

 

<3> 食品の化学的および生物学的リスク因子の複合暴露時における生体影響の変動

食品中の化学物質および病原性細菌を細胞や動物に複合的に暴露させ、化学物質および病原性細菌のそれぞれの毒性が変動するか評価し、さらにそのメカニズムを解析しています。

食品中の化学的・生物学的リスク因子の評価と制御に関する知見や解析技術は、食品業界だけでなく、医薬品・化粧品業界でも重要です。当研究室では、食の安全性を科学的根拠に基づいて判断し、将来、食品、医薬品、化粧品などに関する業界・分野で活躍できる人材を育成することを目指しています。