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概要

ヒトを含む全ての生物は、大きな環境変化に晒されながらも様々な生体センサー分子によって環境変化を感知し、生体内機能を調節・維持しながら生きています。特に環境温度の変化は体温維持のために代謝や血圧などに強く影響します。一方で、生体内においても温度は不均一に分布するなどダイナミックに変化していると考えられます。 本研究室では、温度感受性TRPチャネルをはじめとする生体センサー分子の機能を1分子〜個体レベルで解析することで、生体内外の温度を感知するメカニズム並びにその生理的意義を明らかにし、「温度」の生物における意味の理解を目指します。 また、温度感受性TRPチャネルなどの生体センサー分子は、機械刺激や植物由来の成分など様々な刺激によって活性化されることから、温度以外の刺激についても検討しています。 さらに、生体センサー分子の関わる病態を明らかにし、これら病態の予防並びに治療法の確立につなげます。

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温度感受性TRPチャネル

TRPチャネルは、内因性物質、化学物質のみならず機械刺激などの物理刺激によっても活性化される非選択的陽イオンチャネルです。1997年に唐辛子の辛み成分カプサイシンの受容体であるTRPV1が43℃以上の熱によって活性化される温度センサーでもあることが報告されて以降、これまでに11のTRPチャネルに温度感受性があるが報告されています。これらのチャネルを総称して温度感受性TRPチャネルと呼び、低温から高温まで生理的に感じうる温度域を網羅しています。

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研究手法

パッチクランプ法・蛍光イメージング法

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TRPチャネルをはじめとした生体センサー分子の機能を電流計測もしくは蛍光イメージングにより評価します。
温度刺激や機械刺激を細胞に加えることも可能です。

人工再構成系

精製したイオンチャネルを調製した脂質二重膜に埋め込み、
イオンチャネルの機能を電流計測により評価します。

動物行動解析

痛み・痒みの評価、糖代謝の評価、体温・臓器温度計測。

その他

一般的な分子生物学的手法、初代培養細胞など